運送会社向けの運送管理システム(配車管理システム)は、かなりの数が存在します。しかしその多くが、【トラックによる運送】を前提に作られています。トラック運送の場合、1オーダーの配車情報はとてもシンプルで、
積地 ~ 卸地
までの運送情報のみです。しかし、【コンテナの輸送】の1オーダーは複雑で、
- 出発地点(発地)~シャーシプールまでの移動(宵積の管理も必須)
- シャーシプール~積地までの移動
- 積地~卸地までの配送
- 卸地~シャーシプールまでの移動
- シャーシプール~コンテナ返却地までの移動
- ※経由地がある場合は3が複数発生!
といった配車情報を1オーダーで管理出来なければいけません。
トラック運送用のシステムをカスタマイズしてコンテナ輸送に対応させたい場合、かなりのカスタマイズが必要となります。
配車表・請求書・傭車支払書なども、すべてカスタマイズ対象ですので現実的な話ではなく、コンテナ輸送用に設計されたシステムが必要と言えます。
しかし、コンテナ輸送に対応したシステムは数が少なく、星の数ほど存在する運送管理システムの中から探し出すのはかなりの時間を要します。
このサイトでは、厳選したコンテナ輸送対応の運送管理システム・ベスト5を紹介し、システム選びに失敗しない為の7つのチェック事項もご紹介します。
まずは、「システム選びで失敗しない為に重要な7つのチェック事項」をご紹介します。
システム選びで失敗しない為に重要な7つのチェック事項
運送管理システムの選定において、以下の7つのチェック事項が必要不可欠です。
- インターネットの時代に対応したシステムであるか?
- 自社の運用とマッチするか?
- 得意先と傭車先、ドライバーや車両情報の登録は無料で行ってくれるのか?
- 無料お試し期間は存在するのか?
- 請求書や配車表などのカスタマイズは可能か?
- コスト分析は行えるのか?
- 今までの操作性と同じか?
1.インターネットの時代に対応したシステムであるか?
スマホが普及する2015年頃までは、運送管理システムはパソコンにインストールするタイプのパッケージ製品が主流でした。
システムとパソコンをセットにして販売する業者も多く、高額な為、5年リースにするケースも多かったようです。
インストール型のシステムの場合、パソコンが不調になったり壊れてしまうとシステムが使えなくなるという問題があり、それを回避する為に早めにパソコンを買い替えたり、
2台目のサブパソコンを用意するといったケースもありました。
また、パソコンの買い替えやWindowsのバージョンアップの度にシステムのバージョンアップ費用も発生し、コストは膨らむ一方でした。
しかし、今はインターネットの時代です。
高速な通信回線の普及で、システムをパソコン上に持つ必要が無くなったのです。
通信環境が大幅に改善された2015年以降、スマホが普及すると同時に、システムの主流もパソコンへのインストール型からインターネット型のシステムへと変わって行きました。
インターネット型のシステムであればインストールは不要で、契約すれば即、今まで使用していたパソコンでシステムを利用する事が可能になります。 データはインターネット上に保管されているので、パソコンが壊れてもデータは残っていますし、かわりのパソコンや自宅からでもデータを確認する事が出来ます。
従来は会社でなければ配車データを入力する事は出来なかったので、請求書の作成時期が近づくと、運送業務の後に会社に残業して入力作業という苦労話もざらでした。
今では自宅に帰って一息ついた後に、自宅から配車データを入力する事も出来るようになりました。まさに【働き方改革】です。
インターネットに対応したシステムを利用する事から【働き方改革】が始まります。
2.自社の運用とマッチするか?
得意先や運送内容、運送先などによって、独自の運用方法が形成されます。
その形に合うシステムというのは、独特であればあるほど、当てはまらない可能性が高いです。
とはいえ、システムにも個性があり、設計思想がそれぞれ異なるので、より自社の運用イメージに近いシステムを選ぶことが重要です。
得意先が運賃を決めるという運送業界特有の取引がある場合は、その取引に対応したシステムでなければいけません。
運送会社が一般的な売上管理システムを利用出来ないのはこの点にあります。
締め支払いのサイトが特殊な得意先が存在するならば、その特殊なやり方に対応したシステムでなければいけません。
可能であれば、運用を一般的な形に見直すという事も有効です。
ですが得意先とのやりとり上、変える事が出来ない運用もあります。
運用にもっともマッチするシステムを選択しましょう。
3.得意先・傭車先、ドライバーや車両情報の登録は無料で行ってくれるのか?
得意先や車両の件数があまり多くない場合は、1から入力しても大きな労力ではないと思いますが、システムの乗り換えを行いたい場合はそのシステムから得意先・傭車先、車両・シャーシ・ドライバ等のデータは移行してもらいたいものです。
移行は受け付けていない業者、移行は可能だけれども有料の業者、マスター類は無料で移行してくれる業者と様々です。
移行を希望する場合は、事前に業者に確認を取りましょう。
移行無料の業者であっても、紙の情報からデータを起こす場合は有料になる事も多いので注意して下さい。
また、この機会にデータの整理を行う事も検討しましょう。
長い間、運用を続けていると、取引が無い得意先や、廃車した車両情報などが大量に含まれます。
新しいシステムではこういったデータは邪魔になり、動作も重くなるので、引き継がない方がストレスがありません。
必要になれば、その時に登録を行えば良いだけの話です。
4.無料お試し期間は存在するのか?
インストール型のシステムの時代でも「試用版」という名前で無料お試し期間は存在していました。
インターネットシステムの時代では、2週間や1カ月といった「無料お試し期間」を設けていたり、「デモ環境」を提供している業者が増えています。
無料のお試し期間があれば、自社の運用にマッチしているかどうかを確認する事が出来るので安心して導入に踏み切れますね。
5.配車表や請求書のカスタマイズは可能か?
配車管理システムの一番の肝と言っても良いのが、配車表です。
配車表を使って車両とドライバを采配するのが配車担当の醍醐味と言えます。
配車担当の腕一つで会社の売上が大きく変わります。
配車担当の最重要アイテムといえる配車表だけに、システム標準の配車表では違和感が大きいケースは多いです。
システムは気に入ったが配車表だけは使い慣れた形式にしたい・・・そう思う配車担当は多い事でしょう。
その場合、配車表は慣れた形式にカスタマイズ可能なのか?無料、有料を含め、システム業者には確認する事をおすすめします。
紙に出力できる事も重要です。
ペーパーレス化を徹底し、タブレットなどの画面上で配車表を利用するシステムも存在しますが、停電したのでパソコンが使えない、インターネットが繋がらないので業務が行えない、では得意先や荷主への言い訳にはなりません。紙に印刷さえ出来れば、業務が止まる事は無いのです。
業務をストップさせない事が考慮されているシステムを選ぶというのは重要な事です。
港近くでは天候不良等による停電やインターネットの接続不良は起こりやすいので要注意です。
請求書もロゴを入れたい、明細の表示方法を今までの形式に合わせたい等の要望があれば、業者にまず確認をしましょう。
6.コスト分析は行えるのか?
配車データを入力する(=インプット)という事は、そのデータを利用して請求書を起こしたり、ドライバの実績として給与を支給したりという取り出し(=アウトプット)を行うためだと言えます。
その情報、とことん活用する為には、様々な分析に応用したいものです。
例えば、車両やドライバごとの燃費を比較する事で、ドライバの運転の質が明らかになります。
無駄に吹かせず丁寧な運転をするドライバであれば、少ない燃料で業務をこなしている事が数字として現れます。
新品のタイヤと古いタイヤではすべりに影響が出るので、燃費にも影響を与えます。
若いドライバよりも熟練ドライバに新品タイヤを割り当てた方が、タイヤの摩耗は少ないという事もコスト分析で数字となって現れます。
そういったコスト分析を行う機能がシステムに搭載されているかどうかは重要な要素と言えます。
配車表と請求書・傭車支払書が出力出来ればOKという考えでは、自社の戦力を知る事が出来ません。
普段の入力データを使って、見えない部分を見える化していく事が、令和の時代には必要です。
7.インターネット系システムとパソコン系システムの挙動は同じか?
インターネット系システムとパソコンへのインストール型のシステムでは操作性が同じではありません。
パソコンへのインストール型であるパッケージ製のシステムであれば、ひとつの項目にデータを入力し、キーボードのエンターキーを押すと次の項目に移動すると思います。これは、パソコン用ソフトの世界では常識です。
しかし、インターネット系のシステムでは、エンターキーを押す操作は「送信」を意味します。
インターネットでユーザ登録などの操作を行っていて、エンターキーを押したら送信されて、未入力エラーが大量に出た、という事は誰しも経験がある事だと思います。特別な制御を行わない限り、エンターキーを押した際の挙動だけでこれだけ違うのです。
その為、インストール型のパッケージ製システムが新しくインターネット型(クラウド型も同じ意味です)のシステムをリリースしたので、そちらに切り替えたという場合、同じ名前を冠したシステムであっても操作性が違ってクレームという事態が発生します。
同じ名前であってもまったく別の操作性のシステムであるという事を前提に、お試し環境を実際に使ってみる事をお勧めします。
まとめ
運送管理システム選びに失敗しない為に必要な7つのチェック事項
- インターネットの時代に対応したシステムを選ぶ事
- 自社の運用にマッチしたシステムを選ぶ事
- 得意先やドライバー、車両等のマスタデータの移行サービスを利用する事
- 無料お試し期間を有効に利用する事
- 請求書や配車表などのカスタマイズを希望する場合は、事前に確認する事
- コスト分析が行えるシステムを選ぶ事
- 操作性に違和感がないか確認する事
以上、システムの選定に重要な7つのチェック項目をご紹介しました。